−お知らせ−
このお話は史実に基づくものではなく、単なる妄想です。
一部に実在した人物・団体・物体・出来事・地名・思想・制度なども登場していますが、その行動や性格設定・実態・本質及び情景etcは、全て「でっちあげ」です。
それを承知の上、多少のことは目をつぶり、遊び心で読んでみようという方のみ、下へお進み下さい。




-情熱-


1780年、アメリカ独立戦争に参戦後、独立軍の勇壮な戦果が報告され、援助を惜しまないフランスは国内外に対して充分、国威が示されていた。

そして今年になって、国王は重い腰を上げ、やっとアメリカへの派兵を決めた。



近衛隊は戦地に赴く命令は下っていないが、ラ・ファイエット候のように各人の意志でアメリカに向かい、志願兵として戦う貴族たちも出はじめている。

オスカルは任務において国内に留まることへの不満は無かったが、このところ、フェルゼンの事を考えるといつも頭の中がもやもやとすっきりせず解決法が見あたらない。

いっそのこと彼のいない遠いところへ行けるのであればどれほど気持ちが楽だろうと、彼女らしからぬほど途方もない考えすら時折、頭をよぎる。





さて縁とは不思議なもので、オスカルはふとしたことからフェルゼンのお見合い相手をしたネッケルの娘、ジェルメーヌと知り合った。


ジャルジェ家の六女が跡取りとして女性ながら軍籍にいるという話はジェルメーヌも知っていたのだが、話を聞くだけではどうせ親の七光りで成り上がった飾り物程度に想像していた。

又、オスカルも財務総監のプライベートに興味はない。

いずれにせよお互い今まで知り合うきっかけもなかったのだが、たまたまパレ・ロワイアルにあるカフェで花屋の主人モーリスにオスカルを紹介されて、初めてその人となりを知った。



ジェルメーヌは想像していたよりもオスカルが容姿端麗なことに驚いているようだった。
又、一見冷ややかそうな見た目とは裏腹に、態度からにじみ出る相手への気遣いや知性といったものを彼女は感じ取ったらしい。

普段、母のサロンで大人たちを話相手にし、人慣れした彼女だが、さすがに緊張してしまっている。


オスカルは財務総監ネッケルの娘とあって彼女を丁重に扱い、彼の手腕を誉めるとジェルメーヌはたちまち気をよくしてうち解けてきた。

特に相手の年がまだ12才という若さとはいえ、受け答えがしっかりしていることからオスカルも手を抜かずに話し相手をした。


普段から先入観にあまり左右されない彼女のことなので、無理なく接することはごく自然にできる。



それに話をしているうちに双方共、筋道を立てた話に慣れているせいか話題も尽きない。
近衛隊の中佐という身分のオスカルと、一市民である彼女には強いて接点はないのだが、世論をにらんだネッケルの改革について、オスカルも領地での話を交えて大いに意見を交換した。


オスカルは財務総監と一口に言っても、人によって財政の改革は様々であることに興味を持っていた。

たとえ改革そのものが良くても、農作物の凶作で裏目に出てしまうこともあり、財務総監その人の運もさることながら、人格や国王からの信頼度によって立場は左右される事など色々と事情がある。



「父は昨年、農民を解放する改革を行ったのですが、思ったほど成果は上がらなかったそうです」
ジェルメーヌは残念そうに言う。

実のところ国内は改革以前の問題が多く、今の制度は不備だらけで、どこから手を付けていいのかわからないとネッケル自身が嘆いているらしい。


さらに財政面では追い打ちをかけるようにアメリカへの派兵である。

世論が盛り上がる今、財政を預かる総監としてはやりくりが大変だが、ここは意地にかけても何とか乗り切らねばならない。

特にネッケルは市民出と言うこともあって、多大な権限はあっても大臣の肩書きはもらえない。
彼としては実績を上げて王室や宮廷を見返したい気持ちがある。


もちろん、娘であるジェルメーヌにとっても気持ちは同じである。
少し気の強い彼女にとって、国王や世論による評価は、肩書きに変わるものとして何より重要だと感じていた。




「ネッケル殿はこのたび刑罰の制度も見直す事を視野に入れられているそうだが、私もその考え方には大いに賛同している事をお伝え願いたい」
オスカルはひるまず改革を続けるネッケルに希望を託していた。

軍籍の彼女は政治や経済には干渉していない。それなりの分際をわきまえており、国が安定している限り、行く末を見守ることに徹している。



「私も父を応援いたしております」
ジェルメーヌは誇らしげに言う。


普通の女性として育ったジェルメーヌだが、まだ12才の若さにもかかわらず、少し話をするだけで芯の通った考え方をしているのがよくわかる。

女性だからといって、今までの生き方に流されるのではなく、自分自身がまず解放に向けて改革されるべきと言う態度は非常にたくましい。



だがそれでも今は、女性の権利を掲げて戦うには時期が早すぎ、まず要領よく生きていくことも大切だとしみじみ訴えていた。

見合いの話が舞い込む彼女はすでに夢見ることを捨て、現実に直面しているのだ。



「父から色々な話を聞いていると、私が大臣になればもっと要領良く改革を出来るのにと感じています」
彼女は真顔でそう言い切る。


ジェルメーヌの鼻息の荒さをオスカルはまだ若さのためと聞き流した。

自分の話に夢中になり、自尊心が高く、思いこみの激しい少女はどこにでもいる。
それらは大人になるにしたがい、たいていは角が取れてくるのだから。



だが、彼女は真剣だったのである。

偉大な味方かあるいは差し違えるほどの好敵手を求めて情熱を燃やし、それを糧にして知性を磨き上げるジェルメーヌの心の奥をオスカルとて初対面でそこまで把握できるはずがない。


しかしこうやって話してみると、女性も色々な事を考えており、特にブルジョワジーと呼ばれている地主や資本家の娘などは、貴族にも負けぬほどの知識と教養を身につけていることがわかる。

かえって身分制度に守られた貴族の娘たちよりはっきりと意見を持ち、さらに自立した考えを持っている。


今までオスカルの周囲には暇を持てあまし、楽しく遊ぶための道具を探して、毎日を無駄に過ごしている貴婦人がほとんどだった。

むしろ貴族の娘たちは、自分が「かごの中の鳥」である現実に気がついている。

未来を決められ、自由のない彼女たちが自分の意志を持ち自立心を育てたとしても、かえって悲しみを増幅させてしまうことだってあり得る。
結局は気付かぬふりをしているのだ。



だが身分制度上、そのような怠惰で自由のない貴婦人より、賢明なジェルメーヌのほうが身分が卑しいのである。

オスカルでなくとも、この絶対王制下での理不尽さはすでに明かであった。


別れ際にジェルメーヌはある予感についてオスカルに話した。

アントワネットが政治に口を出し、改革途中の大臣や財務総監を任期半ばで首にしてしまうといううわさを聞いたのだという。
彼女は母のサロンで、王妃の悪い評判は何度も耳にしているらしい。


「父もやがて王妃様に冷たくされるのではないかと心配しております」


しかし、そもそもネッケルはアントワネットの推薦もあって財務総監の地位についた。

そのいきさつからジェルメーヌはアントワネットに対して、少なくとも父を取り立ててくれたという点では良い印象を持っている。


彼女は強い相手に惹かれ、その相手に評価されてこそ自分の価値を見いだそうとしていたのだ。

議論が好きで、何でも理詰めにしてしまう傾向があるが、思ったことを話しはじめると止めどなく情熱的になる。
心の中に静と動が同居することによって気分が高揚し、よりジェルメーヌを力強く印象づけていた。


そんなジェルメーヌは父の努力がなかなか報われないことにいらだっているようだった。



「努力はやがて人に認められるものだ。そして最後には自分が認めるものなのではないですかな」
オスカルはあえて直接的な言葉は返さなかった。

財務総監ばかりではない、廷臣であるなら誰にでも左遷や解任はあり得る事なのだ。
当然、オスカル自身にも当然、起こりうる。


人というものは誰かの評価を経て自分に自信を持つ。

世に認められることを目ざし、喜びとし、励みとする。
出来れば、すでに世に認められた者に一目置かれてこそ、自分の対価を知ろうとするのである。

だが、最後には自分自身によって認められることこそが喜びなのだと先人たちは諭すのだが、なかなかその域に到達できないのも又、人間である。


「私にはよくわかりません。ですが、父の努力をわかる方がここにいらして下さるのはありがたいことですわ」
ジェルメーヌはそう言い残して去った。


後に彼女はオスカルの事を非常に聡明で落ち着いた様子の軍人であると父に語っている。

と同時に、女性ながら男として育ったことについて、貴族という身分は、元より才能に恵まれたオスカルをさらに引き立ててはいるが、反面、彼女を縛りつけていると書き残している。




**********




しばらくして国王は自身が前々から気になっていた拷問の廃止を決めた。

ネッケルからの進言があったのをきっかけに改革されていったのだ。



だが、全ての改革が上手くいったわけではない。国内の古い制度は手つかずのまま放置され、ルイ十六世が国王になった時から、すでに体制は悲鳴を上げ始めていた。

先代のルイ十五世が、王室に反発することから廃止した高等法院などは世論を味方にし、ルイ十六世の即位後にもくろみ通り復権し、何かあれば王室の権威を少しでも奪おうと、隙を狙っている。


高等法院はその名の通り法を司る法服貴族たちで構成され、代々血族で続いてきた帯剣貴族とは異なり、官位についたことにより貴族として認められた者たちである。

成り立ちが違うとはいえ、長い時間をかけて帯剣貴族と法服貴族は今では同じ貴族として認めあっている。


当時、国王の決定は高等法院の登記がなされてはじめて法として発令されていたので、絶対王制下において、唯一彼らだけが国王に対して批判する権利を持っていた。


だが根底では、法服貴族は所詮自分たちが成り上がり者に過ぎず、宮廷に上がることが出来ないことを引け目に感じている。

その劣等感をはね返す意味で、法服貴族は自分たちの権力を拡大するために、法を盾に王室に抵抗していたのだ。


又、帯剣貴族も黙って見ているだけではなく、絶対王制下に国王にもぎ取られた権力と発言権を取り戻そうとして、王室の弱体化を狙っている。

さらに付け加えるとすれば、オルレアン公のような王族も、王冠を手に入れようとたくらんでいる。

少しずつ王権を弱めようとする動きは貴族内部から起き始めており、重い税や義務のために押しつぶされそうな農民や、自尊心を常に傷つけられていた市民たちより以前に、絶対王制を覆す心構えをしていたのである。




**********




アンドレは今ではパリの東部にある、フォーブル・サンタントワーヌ地区にも出向き、ここの家具職人の作業場を借りて、学校のような真似事もしている。

特にこの地区は、腕の良い職人たちが集う街で、ジャルジェ家の家具もほとんどこの街の家具職人の手によって作り出されている。


子供の頃にはオスカルと共に、召使いに付いて行き、家具の製造工程を見学したことがある懐かしい場所だ。


職人たちもアンドレのしていることに賛同してくれていたし、自分の息子にも教えてやって欲しいと頼まれることもあり、そうこうしているとたまの休暇も奉仕活動に費やされていく。




「アンドレはどこへ行った」
オスカルは、忙しそうに若い召使いに指図しているばあやに聞いた。


「はい、又パリの職人の店で奉仕活動とか言っておりましたが、私もよくわからないのでございます」
子どもの頃とは違い、アンドレも自分の自由時間の行動を、逐一ばあやに報告しているわけではない。


「お嬢様に呼ばれたときにいないなんて、本当に役立たずな孫でございましょう。帰ってきたら厳しく叱っておきますので…」
リネンの上げ下ろしで曲げていた腰を痛そうに伸ばしながら、ばあやは言葉をにごした。


「いやその必要はない、ばあや。アンドレにも事情がある。休みをだらだら過ごしているのではなく、有意義に使うのは良いことだ。私も負けぬようにするよ」
オスカルもだいたいの事情は知っていた。


初めは召使いの子どもに文字の読み書きを教えていたのが、いつのまにかパリに行って教えることになり、たまの休暇の時間も割いていると言う。
人の役に立つことをしている彼をできるだけ暖かく見守りたいと思う。



「そんなことより、ばあや。腰を使う作業は若い者に任せて見ているだけにしたらどうだ。このままでは曲がった腰が伸びなくなってしまうぞ」
オスカルはほんの冗談のつもりで言った。

「お嬢様…なんてお優しいのでしょう。あの情けない孫とは大違いでございます。このところお嬢様もお忙しそうで、さぞかしお疲れのご様子ですのに、このような年寄りにお気遣い下さるとは…」
ばあやはおもむろにエプロンで顔を覆い、涙を拭いた。




確かに、ばあやにもわかるものなのかと驚かされたが、彼女はここのところ少し疲れていた。

他愛もない話ができるのはアンドレぐらいなもので、風を切って遠乗りに出かけたり、つまらぬ冗談を言い合うことで、アントワネットやフェルゼンの事を少しの間でも頭から追い出したかったのだ。


つい先日もフェルゼンはオスカルを呼び出し、アントワネットの中傷ビラのことで相談を持ちかけてきた。


「執事がこのようなものを手に入れたのだが、誰がこのような悪質なものをばらまいているのだろうか」
フェルゼンは根も葉もない恋愛沙汰を面白おかしくかき立てているビラを見せつけられて少なからずショックを受けていた。


「気にするな、フェルゼン」
何も知らぬオスカルではない。
すでに二人の事は世のうわさになっている。


どうせ出所は、言うことを聞かなくなったアントワネットと疎遠になった三人のおばたちか、オルレアン公、もしくはつまらない陰謀をたくらむ宮廷貴族か、根も葉もないことをねつ造する民衆などだろう。

どれも本当に見聞きしたことではない。


増してアントワネットに対する中傷は今に始まったことではない。

これまでにも何かと王妃は中傷合戦のやり玉にあがってきた。
彼女が元の敵国・オーストリアから来たこと、様々な浪費や若い頃の軽率な行動など、原因は数え切れない。

彼女の蒔いた種でもあるが、そうでないこともある。
ただ、王妃という立場上、ねたみや陰謀といったものがつきまとうのはある程度、仕方ないことだ。


当のアントワネットもこういう中傷に対し、王妃として毅然とした態度を取ろうと心がけ、特に規制をかけることもなく「馬鹿な人たち」と突き放し無視している。



むしろ、オスカル自身が、中傷ビラよりも現実に生身の二人を間近に見て胸を痛めている。



どちらも大切な人なのだし、彼らの仲は潔白とはいうものの、二人がぎこちなく、そして真剣に見つめ合う視線が、傍目に気にならないはずがない。

どう見ても惹かれ合う男女に違いなく、お互いの信頼の厚さを物語っている。


あのように素晴らしい男性から忠実に仕えてられるのは女性としてどのような気持ちなのだろう。
そして王妃という手の届かぬ女性を目の前にし、それでも騎士として一歩引く男性はどのような気持ちなのだろう。

オスカルはそう考えただけで、ままならぬ思いが歯がゆくていたたまれない。


だが、いずれにしてもフェルゼンのまなざしはオスカルを見てはいない。アントワネットに注がれていた。



まさか私が、とは思う。



だが、彼を見るときの時めき、そして甘くて痛い胸のうずき、これは恋心なのだろうか。


いや、そろそろこれを恋と自分で認めてしまおう。


ずっと否定していても、自分に嘘はつけない。


オスカルははじめて高鳴る胸の鼓動と、やり場のない気持ちを持てあまし、ただ密かに胸を焦がしていた。



彼女の頭の中ではフェルゼンとアントワネットの事が何度もよぎる。

政治の道具となり王妃になったアントワネットは、真の恋心すら我慢し続けなければならないのだろうか。

もし、王妃がフェルゼンに恋心を抱き、苦しむようなことがあれば、私がその身代わりとなれたらよいのにとも思う。



いや、そのようなきれい事ではないのかも知れない。



…臣下としてアントワネットの苦しみを肩代わりしなければという忠誠心なのか、それともアントワネットに代わって自らがフェルゼンとの恋を成就させたいと思っているのか、自分でもよくわからない。


ただ、生まれて初めて、好きになった男性の腕に抱かれてみたいと彼女は思う。

フェルゼンの力強い腕に抱かれるのはどのようなものだろうと想像すると、切なさがこみ上げてくる。

彼女は我知らずのうちに、アントワネットに影響され、熱病のようにフェルゼンとの恋愛に引き込まれていったのだ。



オスカルはアントワネットの心に同調してフェルゼンとの恋を知り、同時にアントワネットの存在によってフェルゼンへの片恋に破れる。

彼女の心はアントワネットに限りなく近づき、そして限りなく対極へと離れていく。

心が両極端に引き裂かれるような孤独を、オスカルは一人で抱きかかえるしかない。



その一方で、彼女の仕官としての理性は別の所で機能しており、アントワネットの政治介入について、オスカルは危機を感じ、やがて貴族たちの造反を招くのではないかと警戒をしている。

いや、むしろ感情の高まりに負けぬよう、理性的であらねばと必死でもがいているだけかも知れない。



王妃に謁見し、さりげなくネッケルの功績を述べたり、やむをえないとは言え戦争への出費が予想をはるかに超えてかさみ、思いもよらぬほどフランスの財政を圧迫しはじめていることなどを話したりもした。

しかし、国の財政などは大臣たちがどうにか処理できると、あくまで楽観視するアントワネットの耳にどれほど届いたかは疑問である。


なぜなら王妃たるもの、何があろうとすぐにあわてふためくものではない。

そんなことよりアントワネットの目と耳はフェルゼンに向けられ、次の遊びの予定を考えることに忙しい。




アントワネットにとってフェルゼンは無くてはならない存在ではあるが、身近に居て当たり前の存在である以上、悩むよりは共に楽しもうという気持ちの方が強かった。

確かに王太子妃としてフランスに嫁いで来て、宮廷の右も左もわからない頃、心細い時にはフェルゼンが大きな心の支えになってくれていた。


しかし今では彼女もフランスの王妃として、絶対的な自信を身に付けていた。

かつては同じ外国人としてフェルゼンに頼っていたアントワネットだが、以前とは違って優位に立って彼を見ている。

異国で地位もなく、洗練された宮廷人とはどこか違った空気を持ち、フランスに染まりきれずにいる青年を守りたい気持ちすらある。


そのために、必要以上にフェルゼンに対して寵愛の態度を取っていると周囲から言われることによって、アントワネットは余計に彼を庇護したいとさえ思うのだ。


王妃の気持ちを察知しているオスカルに出来るのは、くすぶる種火を出来るだけ消していく努力を、人知れず行うことだけなのである。




**********




「いつもいつも出歩いてばかりいるんじゃないよ、アンドレ。私たちはジャルジェ家の旦那様にたいそうお世話になって暮らしているんだからね。普段からもっと自分の立場をよく考えなきゃだめじゃないか」
パリから疲れて帰ってきたアンドレはばあやからこってりしぼられていた。

自分を忙しくすることで苦しいことを紛らわせているだけでは何の解決にもならない。
アンドレは反省し、たまにはオスカルを遠乗りに誘おうと決めた。

「よし、そうなれば準備、準備」
彼はクヨクヨと考えることを吹っ切るように、厩へと走っていった。





2005/6/22/



後書き
資料などを読んでいると、書いてある本によって誰がどんな改革をしたかという所で、人の名前が違う場合があります。
最新の資料ならもっと正確なのかも知れないけれど、そこまでは突き詰めていません。
それに、後に続く話の流れに合わせて好き勝手に変えているところもあるので、話の中身は信用しないでね。



up2005/8/2/




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