お知らせ− このお話は史実に基づくものではなく、単なる妄想です。 一部に実在した人物・団体・物体・地名も登場していますが、その行動や性格設定、本質及び情景は、「でっちあげ」です。 それを承知の上、多少のことは目をつぶり、遊び心で読んでみようという方のみ、下へお進み下さい。 -冬の旅- 宮廷ではオスカルの不在をあれこれとうわさしてみたものの、これと言った不祥事も耳に入ってこない。 日和見な王に代わって、アントワネットが自分の意志で大臣の罷免を行うこともあるが、特にオスカルが失脚したわけではなさそうだ。 アントワネットが激怒したというが、普通なら「気に入らない廷臣」として即座にお払い箱のはずだが、と、皆は首をかしげている。 絶対的な権限を持つからと言って、王や王妃が必ずしも正しい適材適所の人事配置を心がけているわけではない。 感情的なことで左遷されたり、持ち上げられたりと、廷臣たちは能力ではなく、運によって浮き沈みがある。 だから宮廷に仕える者は生き残りをかけて策をめぐらせるのである。 父のジャルジェ将軍は沈黙し、事情を聞き出すような雰囲気ではなく、又彼自身も余計な話はしないたちである。 もしかして少佐は休暇なのではあるまいかと言いだす者もいて、事の真相はわからずじまいとなった。 皆のうわさをよそに、オスカルはしばし時間の空白が出来たことで、領地の視察を計画していた。 農作物の作付けはもとより、領民の暮らしも色々と気にかかる。 とくに農民は様々な税金がかけられ、彼らの暮らしは相当厳しいと言う。 リアンクール公ではないが、生活に困った人々のための施設作りや若者のための教育などもおろそかには出来ない。 特に領主はただ搾取するだけではなく、領民との信頼も大事にしなければいけないと考えていた所なので、ちょうど都合も良い。 領主の締め付けがきつすぎて農民一揆が起きるという話も耳にしている。 自分の代になってから慌てないよう、この機会を最大に活用するつもりで彼女は視察に期待していてた。 父は横目で知らんぷりを決め込み、次期領主が領地を見てどう動くかを観察するつもりらしい。 実はここ何年か領地の作物の出来高は横ばいで、伸び悩んでいる。 去年は領地を二つの組に分け、父と二人で出来高を競ったところ、オスカルの率いる若旦那様組が微妙な差で勝っていた。 そのせいか負けず嫌いの彼は、おとなしく娘の出方を見守ることにしたのだ。 表向き謹慎の身であまりおおっぴらに動くことは出来ないが、少人数なら目立たない。 オスカルは御者のシモンと護衛…正確には話し相手にアンドレを連れて、領地のアラスに向けて出発した。 まだ春が遠い道中は景色も寂しく、寒い地域では所々雪が残っており、通る村々では蓄えも少ないのか宿の食事も質素だ。 だがどこから聞きつけたのか、オスカル一行が宮廷貴族と前もって知った町では、取り立てを期待する商人たちが待ちかまえ、やたら歓待された。 どこでもおいしそうな話には鼻が効くものだなとオスカルは皮肉り、この寒空にわざと宿を避けて野宿するなど、あまりじゃくぶりを発揮した。 ********** ジャルジェ家の領地があるアラス地方は古くから栄えている町で、大きな建物や寺院・劇場など往時の繁栄が今もなお見受けられる。 アラスがあるアルトア州はフランスでも北の端にあり、海峡をはさんでイギリスと向かい合っている。又、フランス東部の国境にも近い。 この時代は特に国境もあやふやなことから、辺境のに住む村人などは、かつてフランスと隣国の両方に税金を納めていたということも珍しくない。 なので、自分がフランス人なのかそうでないのか、かつては、はっきりと知らない者もいたと言う。 やっとアラスに到着し、居酒屋で郷土料理と酒にありつけると当て込んでいたアンドレのもくろみは見事に外れ、オスカルは一日のほとんど領地を視察するなど、意欲的にあちこちを巡っていた。 ジャルジェ将軍の人望が厚いのか、領民のオスカルに対する態度は良好だ。 オスカルにすれば短気な父親ではあるが、領地を治める場合は慎重に関係を築いていたらしい。 管理人に任せっきりの屋敷もあるが、アラスの町をよく知りたいというオスカルの意向で一行は町中の宿に泊まることにした。 前に訪れたときからかなりの年月が経っているがオスカルを知る者も少なくはなく、町の商人などが立派に成長した姿を見て思わず涙ぐむ場面もあったが、酒場で言いがかりを付けてくる酔っぱらい相手に大げんかを買うなど、彼女の血の気の多さにはあきれ果て、皆「血は争えませんなあ」とあっけに取られている。 「よほどイライラがたまっていたんだな」 と、アンドレもオスカルの自由奔放な態度には手も足も出ない。どちらかというと、こっちにとばっちりが来るよりはましだと放置していた。 反対に「こんなに派手に暴れたら居づらくなるんじゃないのか」と、アンドレの心配ではないが、間もなく貴族の若旦那がパリから来ていると言うこともすぐにうわさになり、オスカルは忙しい合間に地元の人との面談もこなしていった。 多くは町の商工業に携わる事業主が多く、遠いパリの動向やこれからのフランスの行方などを精力的に語って帰る。 あるいは町の役人などとも話をし、仕事ぶりが不真面目な者には容赦なく切り込み、真面目な者とは時間を忘れて議論した。 そんなこんなで滞在も一週間が過ぎ、やっと宿の食堂で酒を飲む余裕が出てきた。 この日はオスカルは思った以上に農地の土が痩せていることに憂慮し、その道に詳しい者を食事時に招いて話を聞いていた。 起きている時間はたいてい仕事詰めだなとアンドレもあきれたが、案外、軍人になるよりこういう政治経済の仕事が彼女には向いているのではないかも思う。 要はたいていのことをやりこなしてしまうオスカルではあるが、アントワネットの護衛で彼女に付いて走り回っているより、こうやって自分の思うことを好き勝手にしている方が、彼の気のせいかも知れないが生き生きしているようにも見える。 さて、夜も更けてきて食事会もそろそろお開きにしようかという頃、宿の前でにわかに人の叫び声が響き渡った。 何事かと飛び出すと、前の川に子供が落ちたという。 まだ春も早い時期である。川の水は冷たく辺りは暗くなってきている。 「やぁっ」 とっさに飛び込んだのはオスカルとアンドレだった。 酒を飲み、冬の川に飛び込む事に躊躇しない二人もたいそう命知らずだが、その他にも二、三人が続いた。 いざ飛び込んでみると川は大人の背丈にも足らず、石橋に必死でしがみつく子供を助けるのはさほど難しいことではなかった。 飛び込んだ者同士が協力して子供をかばうようにして岸に引き上げ、待ちかまえていた女たちが大きな布を持ち出して助け上げた。 「寒い」 とにかく川から上がった者たちは口々に言った。特に手足が冷たくて痛いほどだ。 宿の主人はあわてて食堂にたっぷりの湯を用意し、女将は簡単な着替えを用意し、飛び込んだ勇士たちに体を温めるように呼びかけた。 川に落ちた子供も無事だったらしく、冷えて青白くなった顔のまま、一緒になって熱い湯の入ったおけに足を入れておとなしくしている。 聞けば貴族の屋敷で下働きをしている少年で、夜の食事に必要な酒を買いに行く途中で足を滑らしたらしい。 とんだ災難だったが、無事で良かったと一同が談笑していたところに、子供の主人が現れた。 「こんなところで何をさぼってるんだ、とんでもない役立たずだな、お前は。さぁ早く帰って仕事だ、仕事」 どうやら召使い頭らしく子供に厳しく言い放ち、反対にオスカルたちには腰が低く、深々と頭を下げた。 「おい、君。この子はまだ体が冷え切っている。暖まるまでもう少し休ませてやれよ」 アンドレは少々腹がたち男を制した。どうにも自分の子供時代とダブる。 「へぇ、旦那。申し訳ないがこいつはよくへまをしでかす奴なんですよ。甘い顔するとクセになるんで…さぁ、ほら」 男は頭をかきながら言い訳し、一方で体をこわばらせている子供の手を強引に引っ張った。 すかさずアンドレが立ち上がった時、横にいる青年が男に向き直った。 「おい、子供相手に乱暴なことはよせ、特に客人の前だぞ。アラスの恥になりたいのか」 青年が一声かけると、男は困ったように手をゆるめた。 「あなたがおっしゃるんなら仕方ないですな。おい、お前、ちょっと休んだらとっとと帰ってこいよ」 と、気まずそうに言うとそのまますごすごと立ち去った。 オスカルはその青年のことを確かどこかで見た顔だと記憶をたどれば、国王の戴冠式に祝辞を述べた学生だということに思い当たった。 聞くところによるとこの町では有名な弁護士の家系の長男で、彼もまた父に続いて弁護士を目指しており、名はロベスピエールと言う。 「君に会えて光栄だ。国王陛下に祝辞を述べた態度が立派だったのを今も鮮明に覚えている」 オスカルは手を出して握手した。 「お褒めにあずかって光栄です」 内気なのか青年は言葉少なに答えた。 食堂の主人が補足して言うには、彼は熱血漢で頑固者、そのわりには思慮深く貧しい者の味方だという。川に飛び込んだのもいかにも彼らしい行為で、町での評判も非常によい。 と、そう紹介された青年は少しはにかんでいる。 彼は彼でオスカルの事を、農民の立場を軽んじることなく作付けの向上のために走り回っている領主と聞いて、滞在中に是非会いたかったのだという。 「私が知っている限りたいていの領主には能がない。農民を厳しく縛り付け、はき出させることばかりに終始し、彼らを人として扱わないのだ。あなたはその点、非常に賢明だ。私は今後の展望などをお聞きしたいと思っていたのです」 ロベスピエールはていねいに言った。弁護士を目指しているせいか、年の割に落ち着いている。 「いや、私はまだ領主となるべくして勉強中だ。今後のことなどを偉そうに語れないが、作物を作る下地は土地のことだけではなく、農民そのものの環境が大事だと感じ入っている。何事も試行錯誤だが色々とやりがいがありそうだ」 オスカルは振る舞われたワインで体が温まってきたのか饒舌になっている。 「今の男ではないが、相変わらず貴族は大きい顔をしている。あなたはそうではなさそうだが、私はつくづくこの身分制度の破綻ぶりには閉口するばかりです」 ロベスピエールも負けじと話しはじめる。 彼があからさまに身分のことを持ち出すあたり、自由な風潮が国内にかなり浸透しているらしい。 「貴族にも色々ある。何のための貴族の身分なのかその責任をよく考えれば、おのずと行動は慎重になるはずだ。その点、君は弁護士を目指して信頼を得ていると聞いたが、その才能を是非これからもアラスの人々のために役立ててくれたまえ」 オスカルは人望厚い彼をあえて逆なですることは避けた。 「…私は人々のためには尽くしたいが、あの悪名高い王妃のためになることはしたいとは思えない。贅沢三昧に派手な賭博、果ては国王を牛耳って人民に目もくれない。はっきり言ってご成婚は失敗だよ。期待したぶん、はずれたことで失望も大きい」 ロベスピエールは話が国のことになると、とたんに顔を曇らせた。 「何?それは聞き捨てならぬな。仮にも王后陛下に向かって失敗だなどと無礼だと思わぬか」 オスカルは相変わらず表情を変えないままながらも言葉を荒げた。 隣にいたアンドレとすれば彼女がかなり気分を害していることはわかる。 だが彼女も子供の頃とは違い、感情をそのまま表情に出すことは押さえているらしい。 実際には彼女の感情は豊かで感性も鋭い。 「いや、これは失礼した。あなたが物わかりの良い貴族だと思ってうっかり口がすべってしまったらしい。決して悪意ではない。この仕事をしていると身分制度などと言うものがいかに不完全なものかとつくづく思い知らされているのです」 「王妃様の事を何も知らないまま、よく勝手な事が言えるものだな。弁護士になろうとしている者が、そんないい加減なことを口に出してどうするつもりだ」 さすがのオスカルも相手がつかみかかってこないうちは手が出しにくい。 代わりに言葉だけがきつくなる。 それにこの町では人望厚いロベスピエールの口からあからさまな王室批判が出てきたこともショックだ。 「確かに王后陛下に謁見を申し込んで直接話をしたことはない。だが、あの悪評をいくら割り引いてみたところでさして印象が良くなるとは私は思えない。確かに王妃が単に民衆の生活不満のはけ口になっていることは私も理解している。だが国王も王妃の尻に敷かれていると言うし、お世継ぎもまだ出来ない」 たとえうわさだとしても、未だ世継ぎが出来ていないことは事実であるし、批判を受けるアントワネットに非がないとは言えない。 「それに王も大臣も王妃を押さえつけるだけの力がないのだとしたら、王妃が勝手に好き放題あやつる絶対王制は欠陥だらけの制度ではないのだろうか。それに王の資質ひとつに国の運命がゆだねられているとしたら、毎回王が代わるたびに賭けをしているようなものだ。第一、今も人々の暮らしは改善しないし、複雑でいい加減な制度のおかげで目を覆いたくなるような悲惨な事件も後を絶たない。これでは誰が王室に期待するというのです。まず人民の幸福を考えてこそ、良き王、良き王妃なのではないでしょうか」 ロベスピエールは淡々と言う。 一方のオスカルはそれでも王室を弁護するしかない。 「今、我が国の財政は非常に厳しい。だがそれは決して王妃様のせいでそうなった訳ではないし、様々な弊害を改革しようと大臣も取り組んでいる。何より人民が住みよい国づくりを国王陛下が望まれていることを君には是非知っておいて頂きたい」 だがそう言いつつも自分の言葉が空虚に響いていることも認めざるを得ない。 …予想以上に民衆の失望が大きいことに驚きを隠せないまま。 事実、国を動かす大臣たちはお互いに連携を取らずにバラバラで、大胆な改革案は我が身の利益を損なうことを嫌がる貴族たちによって阻止され、肝心の国王は改革に意欲はあっても優柔不断で決断力に欠ける。 さらに絶対王制と言うものの、すでに一部の王族や貴族たちは王室に反目したり、自分たちの権力を強めようとし始めている。 王が物笑いの種になり軽んじられている場面も珍しくはない。 彼女とて、このままで我が国は大丈夫なのかと危惧することもしばしばある。 「何度も言うが、私は悪意で言っているわけではないし、あなたに八つ当たりして怒らそうとしているのではない、ただ単に広く人民の声を代弁しただけです。だけどこれ以上、雲行きが怪しくならないうちに退散させて頂きましょう」 彼は子供の頭を軽くぽんぽんと叩いて足早に出ていった。 「なんだ、あれ。言いたい放題だな」 アンドレは首を伸ばしてロベスピエールの出ていったドアを眺めている。 そしてオスカルに向き直り、よくぞ怒りを抑えたと感心した。 「まぁ、あまり気にしないでやって下さいまし。弁護士一家の長男として生まれ、正義感が人一倍強いのでございます。この町でも貴族の横暴は珍しくなく、ロベスピエールは困った人を無償で助けてくれております。それに彼の一家がバラバラになってたいそう苦労をしてから、弱い者の味方をする傾向がさらに強まっておるようです。元々は心優しい青年でございますゆえ、町の者も心強く感じております」 宿の主人は暖めたワインのおかわりを皆に振る舞いながらロベスピエールを弁護した。 どうやら彼は貴族には嫌われているが、民衆には絶大の信頼を得ているらしい。 本人も法服貴族ではあるが、彼自身が貴族嫌いなのは周囲も承知の事実になっている。 「さて、この子を屋敷へ送り届けて今日はこれでお開きとするか」 ややあってアンドレは立ち上がり、一同をそろそろ寝る支度へと促した。 「ロベスピエール、覚えておこう」 オスカルは独り言のようにつぶやいた。 ********** アラスには約十日の滞在を経てオスカルたちは帰路についた。 あの後、ロベスピエールに会うことはなかったが、厳しい発言にもかかわらず、未来を改革しようとする前向きな瞳はオスカルの記憶に焼き付いていた。 彼女はよほど心の中がもやもやとしていたのか、帰る前日にも酒場でからんできた酔っぱらい相手に大暴れし、うっぷんを晴らしていた。 酔ったふりをして実はしらふだったことをアンドレは知っている。 おかげでアラスの町では彼女を「美貌の暴れん坊」などと評しているらしい。 オスカルにとってはアントワネットに向けられた批判の大きさや、町の有力者たちの台頭など、着実に変わりつつある時代の流れをひしひしと感じた視察旅行となった。 領地では思ったほどに農民の暮らしぶりは悪くなかったが、特に農法のあり方には考えさせられる点が多かった。 人々の話をまとめると、効率のいい耕作法に改革することは、同時に落ちこぼれる農民を増やすことにもなると言う。 過渡期だからという者もいたが、すぐに片付かない問題と言うことは明らかだった。 今回のオスカルの成果としては領地の整備や、倉庫などの老朽化した建物の建て替えなどを進めて帰った。 アンドレは読み書きが出来ない子供たちへの援助をして欲しいと、教会の司教などに強く頼み込んでいた。 「ロベスピエールの言いたいことは俺にもよくわかったよ。ただ言い方にも色々とあるけれどね」 アンドレは帰りの馬車で思い出すようにオスカルに話しかけた。 「私は対立する一方に話を聞けば、もう一方の考えも考慮しているつもりだった。だが少し認識が甘かったことを今回の視察で痛感している」 オスカルは馬車の窓から遠いところを眺めながら言った。 思った以上に何やら目に見えぬ気炎が国中のあちこちで上がりつつある気がして仕方がない。 「アントワネット様に悪気がないことは俺も知っている。過去の王妃様に比べてどうかという問題でもない。王妃や寵姫というものは浪費でわがまま、批判の的になりやすいのは世の常だ。ただ、今までになく王室を取り囲む世の中の空気が変わりつつあることを、そばにいる俺たちが敏感に感じ取らなきゃいけないってことだろ」 「アンドレ、お前に平民の気持ちがわかると言うのなら、この先はどうなると思う」 オスカルは初めて平民の立場を彼に聞いた。 「平民の、それも知識層はすでに身分制度が疲弊しきった制度であることに気が付いている。気が付いていないのは平民の上でのうのうとあぐらをかいている貴族と僧侶の身分だけだ。近いうちに今の仕組みは破綻するに違いない、俺はそう思う」 彼は自分が大胆なことを言っていることにはちゃんと気が付いている。 その意味の中に貴族と平民との隔たりの大きさへのジレンマが当然、含まれている。 身分制度がある限り、相手が平民だからというだけで貴族は平気で侮辱する。 今、台頭しつつある平民はその能力にかかわらず、貴族よりも下の身分に甘んじなければならない事に怒りを感じている。 アンドレも又、心のどこかに怒りを感じている。 彼が特に平民であることに憤りを感じるのは、オスカルが貴族であり、彼女の前に一人の男として存在できないという、絶望にも似たやるせなさに他ならない。 2005/5/21/ 後書き はははっ! 農業改革?ロベスピエールの人柄?領地の管理?ぜーんぶウソだよ〜ん! ・・・って感じぃ〜。 まずアラスに行ったことないのでその辺からしてでっちあげですね。 自分がフランス人かどうかわからない国境の地方というのは、このアラスのことではありません。 単に、そう言う話があったらしいという事です。 自分でもあつかましく、よく書いているなと自覚してます。 アラスのどこがジャルジェ家の領地だったかなんて、どっちみち架空の話なのでよくわかりません。 一応、アラス近郊の農村部だけかなぁなどと思いつつ、あいまいに書いています。 書きたかったのはオスカルがジャルジェ家の領地のことを考えていたこと、それはすなわち自分の領地の人々の生活にオスカルが責任感を持っていたこと、です。 そうじゃないと自分のことを差し置いて、アントワネットに対して「民のことをお考え下さい」なんて事は言えませんし。 と、まあ・・・話の核心とも言えるテーマをこんな後書きで書いているのが我ながら底の浅さを暴露するようなものですが・・・・・。(^_^;) このあたりの歴史・経済に明るい方はこのコンセプトだけを読み取って下さいね、後のお話は脳内変換でお願いします。(他力本願) 今回の視察ではアニメ版であったように、悲壮な農民の暮らしは見て取れません。 ここで身分制度による弊害をオスカルが身をもって知ってしまっては、明日にでも寝返ってしまいそうですから、やめました。 今のところ、ジャルジェ家の領地は平和のようです。 貧富の差にもよりますが、本当は農民の暮らしは厳しかったみたいですね。 時には人間以下の扱いもあったとか。 この視察の続編は特に書く予定には入ってませんが、ひょっとして翌年から彼女は領地の農村改革に取りかかり、生産向上のために奮闘してたりして。 アントワネットの世話だけではなく、自分の領地にかかわる仕事も次期ジャルジェ家当主として考えていくことの一つなのですから。 だけど革命騒ぎでオスカルはジャルジェ家から飛び出してしまうのですよね。 こういうジャルジェ家固有の領地改革も途中で捨ててしまわなければならなかったのだとしたら、彼女としては心残りじゃなかったのかな。 しがらみが多いと、革命とは言えなかなか責任のある立場であればこそ、貴族の立場を捨てるというのは難しそうです。 ところでせっかくアラスに着たのに、おいしい話に展開することなくアンドレも空振りで帰ってきてしまいました。気の毒・・・。(T_T) up2005/6/2/ 戻る |