−アナーセイの嵐・・・のおまけ−



 オスカルはワカコンスタンツの屋敷を訪れた時、ふと思いつくことがあって、ワカコンスタンツの部屋に入り、整理ダンスをあけた。


そこにはオスカルのブラジャーがたんまり入っていた。


「むむ・・・姉上、やはり・・・」



そう言えば、オスカルのブラジャーがどんどん減っていたのだ。
ワカコンスタンツはいつも「知らんで」とうそぶいていたが、やはり真っ赤なウソだった。
里帰りする都度に、着替えを忘れてきてはオスカルのものを失敬して帰っていたのだ。


それも、ここにあるのは普段オスカルが軍服を着るときに、胸が目立たないように、特別あつらえた物なのだ。そこいらの店には売っていない高級品だ。
こんな物、普通のコルセットと違って、女らしさを隠すものなのに・・・オスカルは思った。



 当時の女たちは、どちらかと言えば、胸を目立たせたいので、それ用のブラジャーやコルセットをつけていた。・・・ただ、ワカコンスタンツにとってはそこまでの意味は何もない。
ただ、パンツとセットで身につける物、というぐらいの認識しかない。



「それもかなりちびている・・・」
オスカルは人の物を勝手に使い込んでいたワカコンスタンツにムカッときたが、こんなことをアンドレに言える訳がない。


彼女はワカコンスタンツが取り込んだブラジャーを根こそぎタンスから引きずり出し、持って帰ることにした。



「おい、オスカル。何やってんだ」
暗い部屋でゴソゴソしているオスカルをアンドレが見つけた。
「ア・・アンドレ、イ、いや、何もない」
オスカルはうろたえて、ブラジャーを後ろに隠した。



たとえ光と影の二人でも、さすがに言いにくいことはあった。


おわり

19960517



up/2005/1/12/


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