−お知らせ−

このお話は史実に基づくものではなく、単なる妄想です。
一部に実在した人物・団体・物体・出来事・地名・思想・制度なども登場していますが、その行動や性格設定・実態・本質及び情景etcは、全て「でっちあげ」です。
又、内容も原作から大きく外れている場合も大いにあり、予測なしにオリジナルキャラクターも登場します。
まれに、現在は控えるべき表現も出てきますが、あくまで場面を描写するためにやむなく使用しています。
気になる誤字脱字誤用も当然、存在します。

特に、オスカル様はバスティーユでかっこよく散るに決まっている!原作と同じ展開で、行動も原作通りのオスカル様じゃなきゃダメ!と言う方にはお勧めできない内容になっています。


又、このお話は前後編になっているのでいきなり後編から読む人はあまりいないと思いますが、前編冒頭の−お知らせ−に前もって読んで頂きたいことを書いていますので、是非そちらをご覧になり、多少のことは目をつぶり、遊び心で読んでみようという方のみ下記の後編本文にお進み下さい。






-消えた十字架(後編)-



性描写・・・一般に言う性的興奮を促すようなアダルトな描写ではありせんが、内容の一部に性的な行為を表す箇所が含まれているので、個人の判断として18歳未満の方の閲覧はお勧めできません。大したものではない(と思う^^;)のですが、念のため。
お手数ですが、ここまでいらした18歳未満の方は、以下に進まずお戻り下さい。



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その日、オスカルは少しだけ外出しようとしていた。


まだ身体は自分が思うほど回復していなかった。
とは言え、回復したとしても自分がどれほど世の中に必要とされているのか、彼女には全くわからない。

今でも、もし自分の能力の使い道が有るのであれば、喜んでこの身を差し出したいと思う。


しかし王権が弱り始めたこの頃、様々な勢力が頭をもたげてきている。

下手をすれば、思いもよらぬ勢力に自分が利用されてしまう可能性も非常に大きい。
世の中の激変には敏感なオスカルですら未来の予測が付かず、結果は全く計り知れないのだ。

むしろ、彼女の勘が冴えているからこそ、今こうして自分が沈黙しなければならないことを、意識下で感じ取っているのかも知れない。



特に父はバスティーユ事件の後、長い間、苦しい立場に立たされていたと聞く。

ジャルジェ家の事を考えると、両親や一族にとてもこれ以上、迷惑をかけられぬ思いが常にある。

革命の激変によって、これほど身動きが取れぬ現状を考えれば、自らの意志で立ち向かうことが出来たのは、あのバスティーユ事件までのことだったのであろうか。


今、自分が表立って動くことが出来ないのはよくわかっている。
しかし、何の目標もなく、誰からも相手にされず、うち捨てられた人生に何の光が差すであろう。

それを考えると彼女の一歩先は真っ暗闇しかない。

だが、今の彼女には身体を治すという当面の目的がある。

アンドレのためにも元気になりたいという想いが、彼女を絶望ではなく希望へと導いていた。



オスカルは常々、あまり外と遮断されたくないと考えており、身体の調子が良い時はほんの少し通りを歩くだけでもいいので、とにかく出ていく事にしていた。

隣近所には夫婦者だと言ってあるので、かつてのように男装もしにくい。
仕方なく出来るだけ地味な女性の服装で出ているのだが、いつもの習慣で帯剣することは忘れない。




**********




古い共同住宅を出て、少し歩くとすでにめまいを感じて立ち止まる。

だが、天気の良いことを言い訳に少し長く歩こうと重い身体に鞭打って、いつもは行かない細い路地に差し掛かった時、いきなり帽子を深くかぶった男が剣を振りかざして襲いかかってきた。



「何者っ!」



すかさず彼女は男の攻撃をかわし、スカートの間から長剣を抜き取った。

そして間髪おかず剣を振り上げ、男の帽子を飛ばす。

たとえ身体は弱っていても、瞬発的な動作は衰えていない。相変わらず身のこなしは軽かった。




「やぁ、さすがだな。ちっとも衰えていませんよ」
男は不敵に笑って彼女を制止し、後ろに落ちた帽子を拾い上げる。
優雅に揺れるくるみ色の長い髪の間から、見慣れた顔がのぞいた。


「ジェローデルか」
オスカルは男の正体を知って驚いた。


「ずいぶん探したものです。貴女が亡くなられたとは信じられなかったものですから…。悪運強いジャルジェ准将の事です。絶対に見つけ出す覚悟でずいぶんパリをさまよいました」


「今は貴族と見れば襲いかかる者もいるのに、相変わらず向こう見ずな奴だな、ジェローデル」


「せめて情熱的だと言い換えてくれませんか隊長、じゃなくてマダム。確かにパリでは貴族を見る目は冷たいですよ。だけどバスティーユの英雄は誰だったかという話を持ち出せば、たいていの人は喜んで議論に参加してくるし、隊長の情報もつかめます」


「無茶なことも平気なのは全く変わらんらしいな」
オスカルは命知らずな彼にあきれ果てた。


「隊長もよくそんなに隙のない歩き方をしていて、かえって不審がられませんね。それだけ上背があるのなら、密使が女装していると間違えられませんか」


「そんなに頻繁に外に出ているわけではない」
オスカルはジェローデルのぶしつけな質問に腹を立てたが、実際これまでに、すれ違う人の中には彼女に鋭い視線を向ける男達もいた。

きっとどこかの貴族が雇った間者がパリの雑踏に紛れ込んでいると思われているのだろう。
あながち彼が言うのは間違ってはいない。


「そうそう、フェルゼン伯もお元気そうです。バスティーユ事件の後、母国から血相を変えて王后陛下の元にお戻りになりました。陛下は涙を流して再会を喜ばれていましたよ。それにしてもフェルゼン伯はいつ見てもさっそうとなさっていて、男の私から見ても惚れ惚れしますね。ただ、少し真面目すぎるのか、かえって私には近寄りがたいですが」


「そうか、それは良かった」
オスカルはアントワネットが誰よりも信頼するフェルゼンに再び守られるのだと知り、肩の荷が下りた気がした。

しかしそう簡単に安堵できない部分もあった。


オスカルは今でも相変わらず王室のこれからを気にしており、アントワネットの動きに注意を払っている。

特にスウェーデンから戻ってきたフェルゼンは、今も尚、フランス王室にあくまで忠実であろうとしているに違いない。

絶対王政を維持し続け、王妃の誇りを持ってこの国に君臨し続けると言うアントワネットの意志を、彼は何より尊重していると聞く。

愛する女性に対し、絶対服従を貫く姿勢は愛の形としては非常に美しい。
だが、それだけでは肝心な時に危険を回避できない可能性もある。

王妃の考えを最優先するだけではなく、彼が時には主体性をもって情勢を見極め、それに沿って正しい判断をしなければ、彼だけではなく王室が生き残る機会すらも逃す事にもなるのだ。



リアンクール公の使いの者によれば、万が一、民衆が王政を打倒せよと騒ぎはじめても、国王一家が安全に暮らせるように、公が自らの領地に王室一家をかくまいたいと進言したと言う。
だが結局、アントワネットはフランス人であるリアンクール公を心から信用せず、計画は水に流れてしまった。

どうやら王妃は今、フランス人を信じることが出来ず、スウェーデン人のフェルゼンにのみ心を開いているらしい。



かつてアントワネットとフェルゼンの出会いがそうであったように、惹かれ合うことでかえって世の中の逆風を強くしてしまう場合もあることを、オスカルは痛感せずには居られない。




「隊長も今からでも遅くはありません。もう一度王后陛下にお願いして特別に取りはからってもらってはいかがですか。なぁに、言い方一つで丸く収まるはずです。陛下は今でも隊長のことを懐かしんで居られますから」
ジェローデルはいたって楽観的だ。


「もうそれは出来ない。私はアントワネット様の前に出て行くことは二度とない」
オスカルは自分自身の信条として、きっぱりと言い切った。


彼女の落ち着いた様子を見て、ジェローデルは現実を見せつけられているような気がした。


オスカルが女ながらも例外的に士官として認められていたことは彼女の努力と才能によるもので、やがて迎えられる王太子妃の護衛となる大義名分もあった。

しかしたとえオスカルほどの実力を持ってしても、女の身で三部会に議員として議場に臨むことはできなかったはずだ。

万が一それが出来たとしても、議会において王室と争う立場になるであろう彼女が、議員になるべくして、王妃に特別な許可を得ようと願い出るとは考えられない。


さらに近衛隊を辞め、衛兵隊に転属した時からオスカルは貴族のあり方に疑問を感じ、敵対していく宮廷と民衆の間で常に矢面に立たされていた。

そんな中でもオスカルは決して逃げ出すことはなく、ついにあの日、貴族として民衆を押さえつけるか、あるいは民衆側に付くかの二者択一を迫られたのはジェローデルもよくわかっていた。

そして彼女は深く傷つき、このようにして平民たちの中に紛れ、目立たぬ所で潜むように暮らしている。


もちろん、オスカルは女であることより以前に、軍属であることを理由に決して議員となることを拒否していただろうが、もし議会で彼女が活躍できたのであれば、このような隠遁生活を強いられる結末を迎えることは無かったはずだと彼には思われた。

移り変わる時代の狭間で、人々のために役立ってきた人間が必ずしも歴史の表舞台に表れるとは限らず、時と共に忘れ去られていくことはよくある。

しかし、オスカル本人がそれを良しとするのであれば、ジェローデルが彼女の決断に対し不服を言うようなものでもない。

彼は釈然としない想いを抱きつつ、要は彼女が今の暮らしに満足していればそれで良いことなのだと割り切るしかない。



「ところで私は今、自由の身ですし、フランスを離れて諸外国に行くつもりなのです。国王陛下と王后陛下のかたくななお考えには従いかねますし、それに議会も信用出来ません。だからと言ってこの国を見捨てるのではありません。私には花嫁が必要ですから、候補を探しに行くのです。もし貴女が一緒に行って下さるのであればそんな無駄な外遊は致しませんが、その場合は新婚旅行に切り替えましょう」
彼は肝心な要件をさらりと言ってのけ、さらに色々あって近衛連隊長の座は降りたと、さばさばした様子で語る。


一理がないわけではないが、ジェローデルは相変わらず好き勝手な事を言う。

彼がこのような考えでは確かに国王も近衛隊を扱いにくかったであろう。

三部会が始まった時、近衛隊の動きが鈍り、宮廷の方針に影響が出ていたことはオスカルも知っていた。



「せっかくの申し出だが、その話は以前断ったはずだ。私はもう…」

アンドレ・グランディエの妻だと言いかけて、オスカルはなぜかそれをはっきりと口に出して言うのをためらった。
夫に対し、今まで妻として彼に何をしてあげられたのだろうと、ふと考えたからかも知れない。


「このまま、平民の中に埋もれていくのですか。貴女ほどの方なら、いつでも華やいだ場所へ返り咲くことは出来るでしょうに」


「私は貴族を捨てたのだし、民衆はもはや弱者ではない」
オスカルは今はもう隊を率いる立場ではない自分のことを充分わきまえているつもりだった。
しかしまだまだ底辺で貧困にあえぐ人々は多い。

今は団結することを覚え、時には凶暴になることすら厭わない民衆だとしても、世の中の不公平はそう簡単に良くならない。
自分に何かできる事もあるはずだという想いが空回りすることもある。



「…むしろ今は私が動くことで悲劇を引き起こしかねない」
宮廷を裏切ったオスカルが今、歴史の表舞台に立つことはすなわち、下手をすればアントワネットの敵となって彼女を滅ぼすことになる。

それでなくとも彼女を政治的に利用しようとする者は多い。
人より頭一つ出る才能を持つことにより、かえって彼女は今この時、沈黙せざるを得ない。



「まぁ、今は貴女を昼も夜も必要としている男がいるからそれはそれで良いと言う事ですか」


「ジェローデル」
オスカルは頬を赤くして思わず怒鳴り返した。


「おっと、そうこなくちゃ隊長らしくないな」
彼は完全にオスカルをからかっている。怒鳴られて楽しんでいたのだ。


だが、ジェローデルの言う事が真実に一番近かったのかも知れない。

自分のためにアンドレを振り回すことを彼女は控えていた。

以前と変わらず彼はオスカルを信じ、彼女のどんな意志も決して否定しないことを解っているからこそ、オスカルも又、アンドレを尊重し、大事にしたいと思う。



「だけどあまり屋外で話を長引かせることは良くないようです。お住まいまでお送りいたしましょう」
ジェローデルは彼女がひどく健康を害していることは聞いていた。

今もやせ細っていることは目に見えてわかるし、立ち話をしているだけで顔から血の気が引いている。このまま倒れても不思議ではないだろう。

以前であれば鋭く隙のない彼女だったが、今なら小脇に抱いて連れ去ることもできそうなほど華奢な感じがする。



「ずいぶん、痩せられたのではないですか」


「うむ、傷の直りが思ったより時間がかかっている」


「外出して大丈夫なのですか」


「あまり外にいるとアンドレに叱られるのでな、ほどほどにしている」


「叱られてるわりには、何だか堂々としていますね」
うわさでは夫婦になったとは聞いているが、この二人の関係はあまり変わっていないのだなとジェローデルは思った。



しかし、オスカルをこのようにやつれさせた原因はアンドレではないかと考えると、次第に腹立たしくなってくる。

そして質素な共同住宅の二階にたどり着く頃には嫉妬も手伝って、彼は不機嫌になっていた。



ドアを開けると幸か不幸かアンドレが帰ってきており、ジェローデルは部屋の中をぐるりと見回してから「奥様をお連れしたぞ」とぶっきらぼうに言い、アンドレに鋭いいちべつを投げかけた。


「ジェローデル…大佐。どうしてここへ」
アンドレは意外な人物の訪問に言葉を失った。

ジェローデルが敵意をむき出しにしていたからだ。


「どうしたもこうしたもない。私だったら愛する女性をもっと大事にするし、このような質素な生活など決してさせないぞ。せめてベッドは天蓋付にするし、着る物だって身分にふさわしいドレスを用意する。おまえは本当にこの女性を幸せにする自信はあるのか」
彼は感情も露わにまくし立てる。


「いい加減にしろ、ジェローデル」
オスカルは厳しい口調で制した。
彼とアンドレはいつもどこかで対抗している。だが、それにしても言い過ぎである。


ジェローデルは彼女の一声で突然礼儀正しくなり、ひどくアンドレを皮肉っていたのをぴたりと止め、深々とお辞儀をすると何食わぬ顔で去っていった。

もしオスカルが途中で止めなければ、痛烈な言葉はもうしばらく続いていただろう。


「あいつの皮肉はいつもながらきついな」
オスカルは軽く流そうとしたが、アンドレはただ拳を握りしめて黙り通すばかりだった。




**********




その夜、アンドレはオスカルを離そうとはしなかった。
今までにないほど乱暴に彼女を扱い、無理な姿勢を要求してくる。


「いっ…痛い」
オスカルは思わず叫び声を上げた。
腕をおかしな方向にねじ曲げられ、まだ直りきらない肩の傷が痛む。


だがそれ以上にアンドレの荒々しさが嬉しかった。
彼の求めるものに応えたい、それが彼女の心に火を付けていた。


お前は俺の物だと言い、凶暴なまでに彼女を何度も貫くアンドレは、普段の穏やかな彼とは別人のようだった。

しかし彼をこれほどまでに豹変させたのは自分なのだと思うと、彼女の中にある女の性が歓びの声を上げる。




**********




翌日の朝になって、オスカルは身体のあちこちが痛んだ。
熱を帯びて赤くなった両胸のふくらみを、冷えた指先でそっと押し包む。


「まるで拷問だ」
彼女は低い声でつぶやいた。

よく見れば彼の荒々しい口づけの後が、いたるところに赤いあざとなって残っている。


今もまだ、彼による愛の行為が感触として身体に残り、芯がしびれているようであった。

特に、強引に押し開かれた両足の付け根がひどく痛む。
立ち上がっても力が入らない。


それでもよろよろとベッドや椅子の背を伝い歩きしながら、鏡のある暖炉の前に行く。
これは長い間、彼女の朝の習慣だった。


暖炉の上にある古ぼけた鏡に姿を写してみると、自分の髪がひどく乱れておかしな格好になっている。

そう言えば明け方になってようやく彼女を解放したアンドレは「変な髪型だ」と笑っていた。
この事だったのだなとオスカルは恨めしそうに、まだベッドで眠っている夫を見た。



昨夜はこれまでにないほど彼の行動は身勝手で激しかった。

おかげで彼女は疲れ果て、鏡に映る自分の顔はやつれきっている。
だが、身体の痛みとは裏腹に不思議と心は満たされていた。


情愛を交わす男と女とはこういうものなのだろうか。
凶暴な彼を受け入れたことでこれほど満たされるものなのだろうか。

オスカルは放心したままぼんやりと鏡を見つめていた。



考えてみれば人生とは何事も受け入れていくものなのかも知れない。


これまでの私は前進することばかり考え、自らの信念を貫き、望むもの全ては自分でつかみに行かねばならないと考えていた。


常に肩に力を入れ、荒波を求めていた自分。
悔いのない生き方を求めようとし、悔いることを恐れていた。

だが、自然がそうであるように、潮は満ちる時もあれば引く時もある。
風も必ず一方向から吹くわけでない。


かつてバスティーユ牢獄が打ち壊され、民衆が立ち上がった時、王妃がその現実を直視し、受け入れてくれるようにと願ったオスカルだった。

だが、いざ我が身を振り返ると、自分は本当に現実を受け入れて生きているのか疑問にさえ思えてくる。

特にバスティーユ事件の後、生きる目的を失い、思うように身体も治らず、悶々とした日々を過ごしている。
今も尚、自分の生きる意味がわからなくなることすら有る。

実のところ、現実を受け入れるのは思いのほか難しい。

ならば自分の事を棚に上げて、人に現実を受け入れろなどと忠告などできる立場ではない。


彼女はふとその事に気付き、自分の考えがまだまだ浅く、至らないことを思い知った。



昨夜アンドレに激しく求められたことで、彼女の身体はこれまでにない歓びに打ち震えていた。


私にはまだ知らぬ事も多く、受け入れていく事はたくさんあるはずだ。

時を重ねることで、人は今までとは違った別の考えに気付くことが出来る。

生きてさえいれば、さらにもっと多くのことに気付くのだ。

未知を知り、自分をさらに高めるために、自身が変化していくことを恐れる必要はない。



バスティーユ事件の直前、医者は私にもう長くないと言った。だが、人の命は神のみぞ知ることなのだ。



神様は私にしばし時間を与え、さらに世の中の多くの事に気付けと仰せなのだろうか。


もっと生きろと仰せなのだろうか。





彼女は希望を持ってそう思えた。


今、ここにこうして生かされている、そう思えただけで自然と涙がこぼれた。


悲しかったのではない、嬉しかったのだ。




まだ希望はある。

きっと良い方へと向かっているはずだ。


そうはっきりと思えたのである。




おわり




2007/1/19/



up2007/9/23/up





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